【ルツェルン】今昔が上品に融合する交通要衝、水の癒しを感じる街。

ヨーロッパ旅

スイス旅のメインはやはりアルプスになるだろうか。そうなるとやはり名だたるアルプスの山々が連なる南の国境付近を目指すだろうか。もしスイス旅で時間が許すならば、北手前の緑のアルプス(このサイトでは、万年雪で白く存在を輝かせるアルプスの山々に対比させ、勝手にそう呼んでいる)も魅力があると確信している。

それら緑のアルプスにアプローチするのに最適な街、その筆頭がルツェルンだ。この地の歴史背景を今でも垣間見ることが出来、水源が豊かで美しさも兼ね備え、昔から交通の要衝で栄えて来た立地の為に旅の利便性が高い。それらは私個人の感想だけでは無いだろう、実は湖畔のリゾート地として既に有名だ。

ここでは、ルツェルンの街で実体験で触れた魅力について紹介する。ここから容易にアプローチ出来る緑のアルプスについては別ログで紹介しているので、こちらも併せて。

争いの歴史を残す城壁、ムゼック市壁。

ムゼック市壁へは、ルツェルンの鉄道駅から北へ15分程。旧市街を抜けると、北の小高い丘にそびえ立っているのが見える。市街地を一望しに散歩するのにちょうど良い距離感だ。

ここは、スイスアルプスから南へ抜ける街道が通った時代から、交通の要衝として発展してきた街とあった。その頃から、地域支配の争いに幾度と巻き込まれたそうだ。その歴史が残るスポットがムゼック市壁だ。旧市街の北縁に沿って残っている。ちなみに、スイスで最も大きくて保存状態が良い市壁だそうだ。9つの見張り台とそれらを繋ぐ壁という作りで、部分的に見学も出来る。

見張り台。中も昔のまま構造を温存している様子であった。上まで登る階段が狭くて急だ。手すりが無い部分や暗い場所もあったりで、かなり(落ちないかと言う意味で)恐い。

見張り台を繋ぐ壁も歩けるようになっている。見張りの立場で言うならば、機能的だ。

見張り台から市街地方向を見る。市街地を一望出来る。左奥のルツェルン湖から、右手前のロイス川に豊富な量の水が流れ込んでいる。川を渡っているのは後述するシュプロイヤー橋。

ルツェルンを象徴する橋、カペル橋とシュプロイヤー橋。

旧市街は決して大きくはないので、短時間でも十分見て回ることが出来る。その中で一際存在感を放っていたのがカペル橋とシュプロイヤー橋であった。ルツェルンの街はざっくり言えば、ロイス川を境に北が旧市街、南が新市街(西の下流は旧市街になるが)。それを跨ぐ様に掛かっている橋に、カペル橋とシュプロイヤー橋がある。前述の市壁の一部として建造されたとか。カペル橋の方が古いらしいのだが、ヨーロッパ最古の屋根付き木造橋だそう。

まずカペル橋へだが、駅から旧市街へ向かう際、旧市街の入り口となる場所に掛かっている為、すぐその存在が確認出来る。

人が多く行き交う立地と言うこともあり、カペル橋の方はかなり賑わっている。

本題、橋なのだが、構造自体は当時のまま残しつつ、(詳しくはないが見て分かる)木の保護にはかなり手が入っている様子。温存状態が良く、美しい。そして市街地の建物に負けない存在感を今もなお示している。新旧の共存は、不自然と言うより何故か自然に融合している感じだ。

続いてシュプロイヤー橋だが、こちらは、カペル橋からロイス川に沿って10分程下る。川の両岸で新旧の市街の風景の違いが楽しめて面白い、もちろん旧市街をぶらぶら歩きながらのルートも良い。

どちらの橋も構造は同じ。組まれている柱毎に板絵と呼ばれる絵画が飾ってある。歴史を綴っており1つずつ内容が違うので、これを楽しむのも面白い。カペル橋には歴史や伝説に関するもの、シュプロイヤー橋には黒い歴史に関するもの、が主な内容となっているそうだ。シュプロイヤー橋の方はそれ故、暗くて恐ろしい表現の絵画が終始続く。死の舞踏の板絵と呼ばれている様で、板絵で言えばこちらの方が印象的だ。

シュプロイヤー橋から街並みを眺める。カペル橋からは下流に当たり、川幅も狭くなるせいか、こちらの方が川の流れのダイナミックさを感じられる。

湖畔の立地がつくる、水の豊かさが溶け込んだ街並み。

歴史的情緒溢れる街、それがルツェルンの第一印象だ。ロイス川の南側、新市街も綺麗で先進的で心地良かったのだが、旅をしている身として強く感じたのは、その対比としての旧市街の佇まいの絶妙さであった。

そして、それに一役買っているのが、ルツェルン湖とロイス川が育む水の豊かさだと感じた。カペル橋、シュプロイヤー橋の存在を創った地理的背景が始まりではあるが、これらの橋の存在は同時に、川の水流の表情が場所で変わる演出を時代を越えて遂げている。また、今もなお美しいその水の流れは、ルツェルンの街並みの美しさと相乗効果をもたらし、ここに住む者と旅する者の心に癒しを与えている。風景にマッチした水の流れがあるだけで与える印象も違ってくるものなのだと感じた。

日が暮れてくると、市街の灯りが主張を強めに、少し違った雰囲気を持つ。ここにも依然とした癒される何かを感じた。湖畔のリゾート地と呼ばれる理由が理解出来る気がした。

緑のアルプス旅に、ルツェルンで癒されてみては。

ルツェルンは、旅の玄関口となるであろうチューリヒやバーゼルから、アルプスへ向かう際に通過する可能性の高い街だ。素通りは勿体ない。是非、ルツェルンの街とそこを起点に気軽に訪れることが出来る緑のアルプスも楽しんでみてはどうだろう。スイスがもっと好きになるはずだ。

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