人柄?国柄?価値観映す、【時間】に対する捉え方、考え方。

フランス生活

このログをつくっている現在、私にとっては重要で早期解決したい案件があり、フランスの役所の方とコミュニケーションを取っている。役所にとっても当案件の対応は本来業務なので、極めて一般的な業務コミュニケーションと考えて良いだろう。にも拘らず、全く期待する様に事が進んでいない。正確には、同じ環境を日本で想定した場合のスピード感に対し、フランスのスピード感が全く違うため、強くそれを感じてしまうのだと思う。急く気持ちが輪をかけてストレスに感じてしまう訳であるが、ここフランスではそのスピード感が普通である現実を受け入れられていない私側の非だ。

ふと振り返ると、似たようなストレスをこれまで何度も感じてきたことを思い出す。何度も経験してきたにも関わらず、私と言う人間の性格的にまだ受け入れられない故のギャップがこの類の場面で発生する。なかなか埋められないこのギャップの正体は何か。私の出した結論は、時間の使い方に対する考え方のギャップだ。

バイキングの席

唐突だがイメージしてみよう。今、バイキング(あの、好きなものが好きに食べれる食事のこと)の席にいたとする。自分はどんな気持ちでいるだろうか?

A:「お腹の限界がくるまで、好きなものを好きなだけ食べたい。」(頑張って広げる派)

B:「お腹は限界があるので、特に好きなものを確実に食べたい。」(現実を見て限る派)

どちらも、自分/お腹の満足を達成されるのには違い無いが、お腹の限界に対する考え方が違う。Aは、限界が最大化されている(限界が来るまで広げ続ける)。Bは、限界が最小化されている(限界を最初から決め制限する)。

逆に難しい例えになったかも知れないが、時間の使い方に対する考え方に通じると思っている。お腹=時間と考えると、Aは、時間を最大限に広げ、その範囲の生産性向上を狙っている。Bは、時間を最小限に限り、その範囲の生産性向上を狙っている。

時間を広げると時間を限るが生む違い

時間は有限だが、その有限の中で時間をどう割くか(広げるか/限るか)は自分次第だ。

ここで冒頭の私の話に戻す。業務の「時間」に対する考え方が、私はAで、フランスの役所の方はBなのだと気付く。もっと言うと、働く「時間」に対する考え方が、日本は比較的Aで、フランスは比較的Bだと感じる。繰り返しになるが、やるべき仕事を生産性高くこなす(自分/お腹の満足を達成させる)と言う大前提は同じだ。そして、達成の為の考え方が違う。

A:「(やるべき仕事を生産性高くこなすのだが)やると決めたことは、業務時間越えてでも完了させる。やるべきことがある以上、時間は割く。」

B:「(やるべき仕事を生産性高くこなすのだが)やると決めたこと以外、もしくはやると決めても出来なかったことは、業務時間を越えたらやらない。限られた時間だから、優先が高いことからやるべき。」

Aから見たらBは、「もっとやったら良いのに。」と思うだろう。Bから見たらAは、「そんなにやらなくても良いのに。」と思うだろう。どちらも、それぞれの是論があって理解が出来るが、一方の立場に身を置く限り、他方の立場を許容出来ないのが面白い。

面白いと言うが、他人事ではない。冒頭のAの立場の私にとっては、「ちょっと業務時間を広げるだけで対応出来ることなのだから、とっととやってくれたら良いのに。」と一方的だからこうやってストレスを感じる訳だ。

コスパ、タイパの一つ先

最近こそ特に、コスパ・タイパ(既述の生産性の話だと捉えている)を良くせんとする考え方が強く浸透してきている印象がある。この追及は良いことと思うが、私は加えてここにAとBの考え方の違いがあることを必ず織り交ぜるべきだと思っている。と言うのは、どちらかの考え方だけで生産性を追及してしまう場合、結果として自分が上手く回らないと思うからだ。

A視点だけで追及し過ぎると、常時コスパ・タイパの指標に追われ、何事も定量的指標でしか考えなくなってしまい、結果、心の遊び・余裕がなくなることになる。つまり、生産性以外の価値を持つべき時間を楽しめなくなる。

B視点だけで追及し過ぎると、最初から決めている範囲の中だけのコスパ・タイパの話になり、結果、それに漏れる内容はコスパ・タイパの考慮すら及ばず生産性はゼロのままになる。つまり、追及したいとする生産性の改善による大幅な化けを見込めない。

フランスと比べると日本は比較的A視点だと述べた。それは、(上の話に沿って表現すれば)仕事への責任感をより強く持っていることであり、生産性高い仕事を絶対量が多い時間でこなすことで競争で負けない成果をより確実に挙げられることに通じると考える。実際、日本人はその考え方が世界的に強いのではと感じる。その良さを根底に持ちつつ、他方(B視点)の良さも取り込めたら。。。

そんな理想像まで考えながらも、実際に起こっている案件に向き合う現実に引き戻される今日この頃。まだまだA寄りと分かりながら言ってしまおう・・・とっととやってくれたら良いのに。

コメント

タイトルとURLをコピーしました