日本生まれ、日本育ちの純日本人の私が、フランスで生活して強くショックを受けたギャップ。その一つに、確固たるバカンスの存在とバカンスに対するフランス人マインドがある。極端に言えば、バカンスは人生の中心にあり、それが無いと人生ではない。というものだ。少なくとも私はそう言わんとしていると感じる。(ここでは、バカンス=長期休暇の意。あくまで尊重の意を込めて書いている。)
フランスが国を挙げてオフィシャルに認めるバカンス
まずは以下、事実を整理。現在の日本ではあり得ない。そう認めるくらい常識が違うということか。
法律で最長5週間連続のバカンスが認められており、バカンス消化は義務。
社会人で5週間相当、学生(子供)で2か月/夏季+約2週/約2か月間隔、のバカンス設定。
個人のバカンス計画は個人の自由。(仕事とは完全に切り分ける。)
特に3つ目、個人の自由度は日本人の感覚と両極だ。職場で「明日からバカンスで1か月休みます」となれば、回答は概ね「Bonne vacances ! (Have nice vacances !)」だ。誰も他人のバカンス計画に関与しないし、仕事が止まる部分に対してはそれはそれ。フランス人マインド的にはこうだろう「バカンスだからOK。」だ。私は正直、最初は驚きや戸惑いしかなかった。しかし、慣れてくるとむしろ良さの方が大きいと思えてきた。この部分を少し掘ってみる。
バカンス=人間が生きる為に必要なもの
言葉の意味を調べていて腹落ちした記載があった。先に結論に近づくが、バカンスは「人間が生きる為に必要なもの(Wikipedia引用)」の様だ。
そう、フランス人はバカンスの権利を使い(法律で定められる義務と言うよりも、もっと能動的な権利としての意味がフランス人マインドの中にはあると思う)、自分の意志で、自分らしく、自分の為の時間を過ごしているのだと思う。
そしてもう一つ大事なことだとが、フランス人は他人のその権利に対しては(自分のそれに映して)最大限尊重するというエコシステムが成立していると思う。
表層に見えるのは、好きな様にバカンスを取りそれを楽しみ、バカンス明けには互いのバカンスの思い出話をするフランスの風景である。しかし、その深層を勝手に解釈すれば、自分が心からやりたいことをやって自分を取り戻し、お互いの自分らしさを尊重し合って受け入れている風景とはならないか。ポジティブマインドの私から言わせれば、それが成立しているバカンスとは素晴らしい制度だし、それを好循環させるマインドがあるのは素晴らしい社会だと思う。
自分(の価値観や時間)に触れ続けることで、自分らしい人生が築ける。
バカンスの言葉が全面に出ている為、バカンスを主語で話を始めてしまったが、バカンスの意味を前述の捉え方で出来れば、自分にとっての納得にすら通じる気付きとなる。
自分の生活の中心に、自分の価値観や時間を置こう。自分らしい人生を築く為に。
今なら自分の中でもしっくり来る、「バカンスは人生」。
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