ユングフラウヨッホ(Jungfraujoch)、登山好きやヨーロッパ旅好きに限らず、”ユングフラウ”の名を聞いたことがある方は多いのではないだろうか(また、ここの関連写真を見ると更に認知出来る方の数は増えるだろう)。ユングフラウヨッホはユングフラウ三山と呼ばれるアイガー、メンヒ、ユングフラウに迫る、ヨーロッパ最高標高の登山鉄道駅を示す。三山を貫くトンネルを抜け得られる絶景の旅をここでは紹介する。
<アクセス>
ユングフラウヨッホに公共機関を使って至るには、最後は登山鉄道に乗ることになる。途中合流がある為、多方面からアクセスが可能。出発地点となる主な町としては、グリンデルヴァルト(Grindelwald)、ラウターブルネン(Lauterbrunnen)が筆頭となるだろう。
① Grindelwald駅~(ゴンドラ)~Eigergletscher駅~(登山鉄道)~Jungfraujoch駅:50分
② Lauterbrunnen駅~(登山鉄道)~Kleine Scheidegg駅~(登山鉄道)~Jungfraujoch駅:120分
今回のルートはグリンデルヴァルト発のもの。
<標高>
Jungfraujoch駅:3,454m(登山鉄道駅としてヨーロッパ最高標高、”Top of Europe”と謳われる。)
ユングフラウ:4,158m(ヨーロッパアルプスの山の中では標高No.1)
メンヒ:4,099m
アイガー:3,970m(ユングフラウヨッホから直接はアイガーはメンヒに隠れて見えない)
<印象ポイント>
目前すぎて視界に入り切らない程のパノラマインパクトを持つユングフラウとメンヒの姿、そして、その二山の谷を南下するアレッチ氷河。この景色には終始うっとりさせられる。特にアレッチ氷河は、真っすぐ走行している為、かなり遠方まで視界が開かれ、その自然の雄大さを感じさせられる。
ワクワクの始まり、グリンデルヴァルト
本ログの旅の始まりは、グリンデルヴァルト。山好き旅行客の知るスイスの町としては知名度が高い町だと思っている(私もその名は以前から認識していた)。ユングフラウ三山に向かう為の出発地の一つグリンデルヴァルトは、昔からそうであっただろう町の佇まいを保ちつつ、山好きの旅人を迎え入れるホスピタリティは開発され整っている町だ。後者(開発されている感)については見た目では感じないところが趣が残されていて心地良い。グリンデルヴァルトの町の魅力紹介は別回に譲るで、ここまでにしておくとする。
さて出発。下の写真は、グリンデルヴァルトから出るゴンドラ駅近く、ゴンゴラを乗ってすぐ跨ぐ川に掛かる橋から。出発は早朝、夜明けの空に照らされ薄明るい町と、目覚めはじめの町の灯りが良いコントラスト。
ちなみに乗ったゴンドラは、創業開始から歴史は浅いらしい。以前は登山電車で全行程を登っていた(現在も可能)ものを、途中駅のアイガー氷河駅(EigerGletscher)まで軽快に運んでくれるショートカットコースだ。ゴンドラからの風景はグリンデルヴァルトを俯瞰出来る。旅人の好き好きで選べるのも旅の醍醐味。
少し高度が上がったところからも一枚。周りの山々の急傾斜感、また、その影響で急造される雲の自然の摂理を天気次第で見ることが出来るだろう。登山電車から観れるであろう景色とは違う面白みがある。
別日、このゴンドラを使ってメンリヘン(Mannlichen)に至るハイキングを行ったので、別途紹介する。その記事では、季節が違い印象も違うので、ここの違う顔を見たい方は是非。
ゴンドラの終点のアイガー氷河駅を降りると、登山電車に連絡する。冒頭に記載したラウターブルネンから登ってくる登山電車、及びグリンデルヴァルトから登ってくる登山電車も合流している線路上の駅だ。以後、角度を強めて三山を登り刻んでいく。
日本人にとっては珍しい鉄道に映ると思う。この登山鉄道は、標高が高くなると全行程で山の中に掘ったトンネルの中を進む。そのおかげでオールシーズン(!)3,000mを越えるアルプスに電車で到達できる訳であるが、その急斜感や閉鎖感を感じ続けながらの鉄道旅は新鮮だ。
この鉄道は、アイガー氷河駅を出てユングフラウヨッホ駅に着くまでに一駅停車をする。Eismeer駅は、アイガーとメンヒを貫くトンネル内、山肌から外の景色を見ることが出来る場所だ。観光スポットにもなっている様子で、5-10分程の停車時間がある。天気が良ければ、電車を降りた展望室からアイガーからのアレッチ氷河を見ることが出来る(私は登りの際は悪天候の影響で視界0mであったので写真掲載は出来ないが)。ゆっくりは出来ないが、シャッターを切る時間は十分にあるので是非展望室には足を運んで。
視界に絶景が収まらい、ユングフラウとメンヒの谷間に構える欧州最高標高登山鉄道駅
Eismeer駅を出ると、間もなくユングフラウヨッホ駅に到着だ。有名アルプスの山頂に迫る場所にも拘らず、その施設の充実度は流石観光地と言った感じ。
施設内には、ここに至る登山鉄道にも用いられているラック(式)のレプリカが。大きい。これのお陰で登山旅が楽に出来ているのだと思うと有難い限りだ。
そして直後、その感心をすぐに上回る感動に襲われた。お待ちかねのユングフラウだ。到着する頃には天候にも恵まれ、青白のコントラストの美しいアルプスの山々と対面することが出来た。
下の写真、右のピークがユングフラウ。それなりの標高に身を置き、アルプスの山々に囲まれている為、下界からの高さ圧倒される感覚は薄い。ここに来ると、意識をしていないと、それと認識するのが意外と難しい。
とは言え、有名なユングフラウである。ちゃんとシャッターポイントもあるし、その絵を納めようとする登山客は私を含め後を絶たない。
実際の標高はユングフラウであるが、山らしさを感じるのは比較的メンヒではなかろうか。ユングフラウヨッホ駅は、ユングフラウとメンヒで成す尾根に設けられている。ユングフラウの反対側にはメンヒが構える位置関係だ。(残念ながら、三山の一角であるアイガーは、角度の都合でメンヒに隠れてしまう。)メンヒは、正面にその姿を観ることが出来ると共に、その奥がグリンデルヴァルト含む下界となる為、雄大に聳える印象を受ける。
この旅でも、お約束のアルプスの雄大さに浸る場所・時間があった。
自然の理を感じる、雄大なアレッチ氷河
見逃すはずは無いが、敢えて言う。見逃してはならないのは、ユングフラウとメンヒの谷間につくられているアレッチ氷河だ。ユングフラウヨッホを中心に見ると、西にユングフラウ、東にメンヒ、南にアレッチ氷河を仰ぐことになる。辺り一面雪深い為、ぱっと見は雪原に見えてしまうかも知れない。これが氷河だと思うと自然の雄大さに驚かされる。どこまで続いているのか。
駅の施設から都度眺めてみて欲しい。少し角度を変えるだけでも氷河を仰ぐ景色は微妙に変わる。ただ、どこから見てもその終わりが見えない程遠い。全部氷河とは。。後程Googleで見てみると、肉眼で見える(写真でも見えている)範囲でも10㎞はありそう。そして驚愕、実際の全長は24㎞でヨーロッパで最も長い氷河と言う事実を知った。
上の写真で左上部の山頂に見えているのが、ユングフラウヨッホ駅の展望台となる。そこから眺める南方パノラマが下の写真。防護柵などがあって視界が完全オープンではないので、個人的には下のフロアからの景色の方が好みであった。
余韻に浸る
ユングフラウ三山を眺めるユングフラウヨッホへの旅も、名に劣らぬ絶景を楽しめるものであった。帰りの電車内、車掌がお土産を配っていた。ご当地デザインのチョコレート。絶景の感動の余韻残る時間に潤いを与えてくれた。配慮の嬉しい登山鉄道の旅だ。
グリンデルヴァルトに戻っても、山旅の余韻は残ったまま。旅人の気持ちを汲んでくれるカフェ・レストランが充実しているのもここの良いところ(いわゆるビジネスだが)。しっかりこの日が終わるまで、ユングフラウの旅を満喫し尽させて頂きました。
名の通りのトップオフヨーロッパ、名に恥じぬユングフラウ三山の贅沢な絶景旅。訪れた際には、紹介した以上のリアルな感動体験があるだろう。スイスのアルプスを楽しみに来た際には是非、この地を有力候補の一つに。
さて、記事の中でメンリヘンを紹介した。そこから仰げるユングフラウ三山は、ここで紹介したそれとは少し楽しみ方が違っている。そこに登り間近に迫るユングフラウヨットに対し、そこを外から山の絶景として仰ぎ見るメンリヘン、と言ったところか。こちらも旅程次第では一緒に楽しめる場所であるので、是非ユングフラウ好きは検討したい。また、メンリヘンと比べると、ユングフラウ三山の存在感は薄くなるが、それを含めた広域アルプス連峰をパノラマで楽しむなら、フィルストもおススメ。フィルストもハイキングメインで楽しみたい。
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