ユングフラウ三山に迫るユングフラウヨッホの旅を別で紹介しているが、ここでは少し脱線し、途中で立ち寄ることも出来るメンリヘン(Mannlichen)への旅を紹介したい。しかし侮るなかれ、ただの途中下車の旅とは違い、ここだけで十分来る価値のある、時間を十分に取ってハイキングを楽しみたい場所である。最も間近でユングフラウ三山の雄姿を視界に収めながら、自らも自然に溶け込むことが出来る、訪れるに値するヨーロッパアルプスのスポットの一つであろう。
<アクセス>
今回のログは、グリンデルヴァルト(Grindelwald terminal)を起点とし、ゴンドラ駅であるメンリヘン駅を始点、登山鉄道駅であるクライネシャイデック(Kleine Scheidegg)駅を終点とするハイキングによる絶景風景の紹介となる。メンリヘン駅、クライネシャイデック駅へは、東の麓グリンデルヴァルトの他、西の麓ヴェンゲン(Wengen)からもアクセス可能。ヴェンゲンは、登山鉄道であればラウターブルネンにも直通だ。
①東から>Grindelwald terminal駅~(ゴンドラ)~Mannlichen駅:約25分
②東から>Grindelwald grund駅~(登山鉄道)~Kleine Scheidegg駅:約30分
③西から>Wengen駅*~(ゴンドラ)~Mannlichen駅:約15分
④西から>Wengen駅*~(登山鉄道)~Kleine Scheidegg駅:約20分
*ただし、ヴェンゲンへはラウターブルネン(Lauterbrunnen)から登山電車:約20分を利用することが一般ルートになると思うので、追加時間の考慮が必要。
<標高>
メンリヘンの山としての標高自体は、周囲アルプス連峰と比較すると高くない。ユングフラウ三山及び周囲連峰の姿と高さ、及び緑の美しいハイキングを楽しむ場所として捉えるべき。
メンリヘン:2,343m
<印象ポイント>
道中、終始ユングフラウ三山の美しさとスイスらしい絶景を存分に楽しめる。歩いて絶景を楽しむのであれば、ここは屈指の贅沢スポットと言える。
なお当ログ然り、目的がユングフラウ三山を楽しむものであれば、ゴンドラ駅のメンリヘン駅を始点とすること。進路が逆(メンリヘン駅に向かう場合)だと三山は常に背後になってしまう。
ユングフラウ三山のお迎えは、旅の始まりから
スタートはグリンデルヴァルト。綺麗な駅舎(ゴンドラ駅であるGrindelwald terminal駅は、長距離鉄道で他エリアから到着するGrindelwald駅とは別モノ。Grindelwald駅からGrindelwald terminal駅へはバス・電車の利用で5分。また、復路で使用した登山鉄道駅であるGrindelwald grund駅も、このGrindelwald terminal駅近く。ユングフラウ三山に向かう際には、Grindelwald駅から一足伸ばす必要があるということだ)、皆各々の目的を持った登山客が行き交い賑わいを魅せており、旅の雰囲気を盛り上げてくれる。
この駅からは、2方向にゴンドラが走っている。今回の目的地の一つメンリヘンに向かう、その名の通りMannlichen駅行。そしてもう一つが、ユングフラウヨッホに向かう登山鉄道駅に連絡する、Eigergletscher駅行。(ユングフラウヨッホに至る旅については別ログでまとめている。)
ゴンドラに乗りこむと間も無く、ユングフラウ三山が視界に入ってくる。当日は見事な快晴。(手前から)アイガー、メンヒ、ユングフラウの三山が、山頂に残す万年雪の白さで青空の中でビビットに主張してくる。手前の夏の緑も若く美しい。早速絶景に出会えた満足感が襲ってくる。
ゴンドラが西へ高度を上げていく間、この三山はずっと視界に入ってくる。アイガーが主役だった登り始めから、徐々にメンヒ、ユングフラウも同じ存在感を出してくる。
メンリヘン駅に近づくにつれ、三山は目前に迫る迫力になってくるが、駅直前では手前のチュッゲン山(Tschuggen)がその姿を遮る。この山は、後ほどハイキングのメイン舞台となる山だ。三山は後程のお楽しみとし、駅に到着したら、まずはメンリヘン山に集中することにする。
視界が喜ぶ豊かな地形、目前のアルプス名峰と遠方の下界のマリアージュ
メンリヘン駅到着。ここは、メンリヘン山と、三山を背後に構えるチュッゲン山の尾根上にあり、ウィンターシーズンはスキー客で賑わう地。到着し北側に目をやれば、メンリヘンの山頂が目に入る。まずはこの山頂を目指す。
しばらくはなだらかに続く登りを歩み進めてみよう。山頂に近づくころ、振り返ればご覧の景色。ユングフラウ三山と手前にチュッゲン。この美しい景色が、本日の旅では終始ご一緒して下さるのだ。
そしてこのメンリヘン、それだけではない。標高2,000m台とアルプス連峰の中では高くはないのだが、周囲がより低標高となる為、360°視界が開けている。山頂からは、アルプス連峰と下界の町の織り成す風景を一挙見出来る。下の写真は、南東方向。先ほど出発したグリンデルヴァルトを臨む。
お次に、南西方向。西からのメンリヘンアプローチで紹介したヴェンゲン、ではなく、そのヴェンゲンに向かうにも起点となる町のラウターブルネン。その奥にシルトホルン。(ラウターブルネン、シルトホルンは別ログで紹介しているので、そちらの魅力も味わってほしい)ラウターブルネンの大滝が小さく見下ろせるのは、何とも不思議な感覚だ。
改めて気付かされる、ここはヨーロッパでも最高峰(標高として)に迫る場所、周りを見渡せば広い世界を見渡せる場所なのだと。この感覚は是非、味わってほしい。
ユングフラウ三山へ一歩一歩迫る極上ハイキングルート
さて、本番。メンリヘン山頂に到達すれば、ここからがユングフラウ三山を楽しむハイキングの始まり。一途に三山を目指しハイキングルートを南下するのみ。スタートは、三山を遠目に臨む真っすぐのルートをひたすらに進む。
最初の標的チュッゲンを越えると遮るものは何もない三山が目の前に広がる。この道中は息を飲むばかり。三山はもちろん、見渡す限りのアルプスのパノラマを常時視野に入れる美しいハイキングルートを楽しめる贅沢なルートだ。景色が良くて、そしてそれが当たり前すぎて、日常の意識を忘れさせられる。
道中の休憩スポットに立ち寄った。このベンチに座ったら、日がある内はずっとここに居れる。
同じスポットから南を向く。三山が目の前。美しすぎて言葉を失う。同じ感覚の旅人は皆、ここで同じ時間を楽しんでいるのだろうと思う。
贅沢な時間はそれからも続く。次の目的地に向かうルートもまた素晴らしい。延々に続く様なハイキングルートも、周りの景色があれば延々に続いてほしいと思うくらい愛おしい。ここに身を置けた幸せを存分に感じる。
少し進んだアングルから。アイガー北壁のラインが綺麗に見える。溜息しか出ない。
道中でこんなところに、なカフェも。そりゃそうでしょう、これだけ美しかったらゆっくりしたいと思う。カフェ、正解。
道中の風景は終始こんな様子、言うなればベストショットの連続なのだ。ユングフラウヨッホも良い場所であるが、時間が許せばメンリヘンからのハイキングも是非立寄るべき場所だと感じる。もっと名が知られていても良い場所だ。
憩いのひと時、どこもパノラマを楽しめる特等席
メンリヘンから休憩しながら歩けば1.5~2.0時間程だろうか、ハイキングルートは登山鉄道駅のKleine Scheidegg駅に交わる。ここは、グリンデルヴァルトおよびヴェンゲン/ラウターブルネンからの登山鉄道が合流し、ユングフラウヨッホへ向かう要衝の駅だ。登山のみならず山を楽しむ旅人が一息付く場所にもなっており、賑わっている。
駅の裏(南側)は、レストラン併設のテラス席となっていて、ユングフラン三山とそれに向かう登山鉄道の景色を楽しめるパノラマビューが確保されている。天気が良い日にここで楽しむ食事は格別だ。
登山電車は、1時間に数える程の便数。このテラスのすぐ横を通る為迫力もある。よく考えれば、ここは駅なのだから当然か。駅のホームにレストランがある方が珍しいのだが、スイスの山だと一般的な風景である。赤の車体が背景に映える。
私もこの駅で休憩、ユングフラウ三山の絶景にしばし浸り、ここからは登山鉄道で下山。なお、体力と時間に余裕があれば引き続きハイキングも楽しめる。登りのアイガーグレッシャー、下りのグリンデルヴァルト、ヴェンゲン、いずれもお好みに応じて。
下山する登山鉄道にて。今回はユングフラウ三山の風景に終始魅せられていたが、見渡せば決してそれだけでない美しい景色が広がっていた。グリンデルヴァルトを挟み北側の山々も、南側の三山と違った表情を楽しめる。(なお、そちら方面にも足を延ばしたので、興味があれば。別ログでまとめている。)
目的に応じて、色んな楽しみ方が出来るグリンデルヴァルト界隈の山々。今回のユングフラウ三山を見て楽しむメンリヘンのハイキングルートは、歩きで楽しめるアルプスとしては屈指の記憶に残る旅であった。
ユングフラウ三山を目指す旅に来た際には、ユングフラウヨッホ訪問に加え、是非メンリヘンにも。
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