メジャーオブメジャーのコース、マッターホルンとゴルナーグラートと比べやや知名度は劣るロートホルンとズンネッガ。しかしここは私にとって、ツェルマット周辺で「良い意味で期待値を最も大幅に超えた」絶景スポットであった。ここではその感動をお届けしたい。
ロートホルンとズンネッガについて
ツェルマット駅(傾斜鉄道駅)からズンネッガ駅:5分(傾斜鉄道)
ズンネッガ駅(ゴンドラ駅)からロートホルン駅:20分(ゴンドラ)
ズンネッガ標高:2,288m
ロートホルン標高:3,103m
ロートホルン山頂に近づくにつれ開ける視界は抜群、空中散歩を楽しんで。
スイス鉄道(一般路線鉄道)のツェルマット駅から、今回のルートの出発地点である傾斜鉄道のツェルマット駅までは徒歩で10分程。マッターホルンやゴルナーグラートに向かうコースと比べると若干客足は減る。しかし、ここを立ち寄らずしてツェルマットを去るには勿体ない。時間を捻りだしてでも是非登りたいコース、と私は断言する。
ツェルマット周辺の旅のコースは外せないところが幾つかあるが、私にとってここは間違いなくその一つとなった。このログでは、ロートホルン(経由するズンネッガ)のコース紹介に終始するが、その他のオプションも別ログで紹介する。
地下傾斜鉄道を抜け、一気にズンネッガへ。
傾斜鉄道のツェルマット駅は暗く寒い。全長が地下鉄道となる為、山をくり抜いたトンネルの中に駅があるからだ。ズンネッガまではノンストップ直通。先の見えない終始上り傾斜(分かり難いが10-15°くらいある)の線路に少し緊張する。
ズンネッガまではあっという間に着く。駅に着き改札ゲートを出ると、空の光に包まれる。視界の先には、もうズンネッガだ。奥にはお約束のマッターホルン。ここから見ると、よりラインが鋭角だ。(なお、ズンネッガは、スンネッガやスネッガなど色々日本語の呼び名がある様子。Sunneggaのこと。)
ここからは多彩なハイキングルートが伸びている。景色に映える湖が点在し、子供が遊べる公園もある。家族連れも多く、人気のエリアと伺える。私はここからゴンドラに乗り換え、一路ロートホルン山頂を目指す。
私にとってはここからが圧巻だった。マッターホルン、ゴルナーグラートとの違いとして、このコースは目指すロートホルンの周辺には高い山がない。その為、高度が上がると一気に視界が開けると共に、抜群の解放感に包まれる。空中にいる様な感覚だ。山頂自体は他のコースと比べても高くはないのだが(依然3,000m超の話)、地形の恩恵だろう、随分と高くまで来たなという感覚。山頂のゴンドラ乗り場も(高さで)空中にいる様なスリルが味わえる。
ロートホルン山頂、空から見下ろす感覚で目に飛び込むアルプスの山々。他と違う絶景感。
ロートホルン山頂へ。アルプスの山々で飛びぬけて存在感を示すマッターホルン。それに連なる3-4,000m級の山群。雄大さの視点で言えば、ここがツェルマット周辺で一番印象に残った。(なお、ロートホルンは、正式名称ウンターロートホルン。実はロートホルンと言うととスイスだけで幾つか同名の山が存在する。ここは正式にはUnterrothorn。)
南側。有名なゴルナーグラートが目前に開けている。その奥にモンテローザが鎮座、一段とその高さを際立たせる。ゴルナーグラートからは山影で見えないフィンデル氷河もここからは目の当たり。
ここは360°絶景、見渡す限りアルプスの山群の縮図と言える。美しく高さも有数の山が多すぎて脳が少し混乱になる。きっと皆同じなのだろう、ここには山の名を紹介するサインが放射線状に配置され、その混乱を落ち着かせてくれる。全部で18山分(全18サイン)だっただろうか、私はどうしても1つサインを見つけ損ねてしまった。登頂の際は是非、全18サインのコンプリートを。
サイン探しも手伝い、絶景の中の山々を十二分に楽しんだ後に復路へ。山頂に来て以後、空中にいる様な感覚が抜けない。不思議な余韻に浸りながらの復路となる。
ハイキングコースも続・ 空中散歩。地形と風景の変化を終始楽しむ。
頂上駅の一つ下の駅からズンネッガ駅までをハイキング。ゴンドラもすごいところを通っている。空中散歩の演出はここから既に始まっていたのだ。
ハイキングして分かったが、山頂付近のハイキングルート自体も空中散歩感がすごい。他のコースと比較しても傾斜は強く、コースは躍動感がある。加えて、遠景の絶景パノラマ。遠近感と雄大さで感覚が麻痺する、自分の中の世界観が追い付かない。アドレナリン出っ放しだ。
ロートホルンは、期待値を最も大幅に超えた。
ツェルマットの街に戻り改めて感じたことだ。それぞれの山の特徴と言えばそうかも知れない。が、ロートホルンは間違いなくツェルマットエリアで解放感が最も強く味わえる山の1つだと言い切ろう。ここで見た絶景は私にとっては強烈なインパクトを残すと共に、そこでの時間を最高のものとしてくれた。ありがとう、ロートホルン!
控えめに言って写真では全然伝わり切らない魅力がそこにはある。是非、直接感動を味わって。
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